人間にとって健康的な果物も、犬にとっては必ずしも安全とは限りません。愛犬の健康を第一に考える飼い主さんなら、フードに含まれる成分や影響を常に気にしているはず。
実は、バナナには犬にとって有益な栄養素が含まれている反面、与え方を間違えると健康リスクを抱える可能性もあります。
本記事では、犬がバナナを食べることの安全性や与える際の正しい量、注意点についてご紹介していきます!
【結論】犬はバナナを食べても大丈夫!
犬がバナナを食べても基本的に問題ありません。バナナは自然な甘さを持ったフルーツであり、適量であれば栄養補給の一環として犬に与えることができます。
ただし、犬によってアレルギーや体質に差があるため与え方・与える量には注意が必要です。
犬にどういい?バナナの栄養価
具体的に、バナナが犬にとってどういいのか、バナナの栄養価や健康に与える影響についてみていきましょう。
犬にとって危険な成分は含まれている?
バナナには、犬にとって有害な成分は含まれておらず、安全に食べさせることができます。
ただし、バナナは高カロリーで糖分も多く含んでいるため、過剰摂取には注意が必要です。日々の食事で十分に栄養を摂取している場合は、おやつとしての位置付けで与えるべきと言えます。
バナナが犬の健康に与える影響やメリット
バナナは、犬にとって良質な栄養源です。ビタミンやカリウム、繊維質などの栄養素が豊富なため、適量を与えることで犬の健康維持に貢献します。
特に、犬の健康に以下のようなさまざまなメリットを与えると考えられています。
便秘予防
バナナに含まれる食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。そのため、便秘の予防に効果的です。
筋肉の健康維持
バナナに含まれるカリウムは、筋肉の機能を調整する働きがあります。そのため、筋肉の健康維持に効果的です。
免疫力の向上
バナナに含まれるビタミンCは、抗酸化作用があり、細胞を活性酸素から守る働きがあります。そのため、免疫力の向上に効果的です。犬の皮膚や免疫力向上につながります。
また、バナナは低ナトリウムであり、体重管理をしている犬にも適している食品であると考えられます。しかし、過剰に与えると消化不良や高カロリーによる体重増加のリスクがあるため、与える量には注意しましょう。
バナナを食べたときの犬の消化に問題は?
バナナは柔らかく、消化に優れているため、ほとんどの子がスムーズに消化できる食品です。
ただ、犬の消化器官は人間に比べて小さいため、食べ過ぎると下痢や便秘を引き起こす可能性があります。特に高繊維質のバナナは、適量ならば消化を助ける一方で、過剰に与えると消化不良を起こすことがあるので注意が必要です。
また、中にはバナナの糖分に敏感な子や消化しにくい子もおり、下痢などを引き起こす場合があるため、初めて与える際には少量から始め、愛犬の様子を観察してみましょう。
フルーツとしては健康に良い選択肢ですが、犬にとってはおやつとしての扱いで、日々の主食のバランスを崩さないように与えるのがベストです。
犬がバナナを好む傾向にある理由
犬がバナナを好む傾向にある理由は、主に次の2点です。
- バナナの自然な甘みと柔らかい食感が犬の味覚に訴えかける
- バナナが犬にとって噛みやすく、食べやすい
犬は、人間と同様に甘いものに対する感受性を持っており、多くの犬がバナナの自然な甘みや香りを好みます。
また、自然な甘さと相まって、柔らかい食感が犬にとって魅力的な特性となります。柔らかいので老犬でも食べやすく受け入れられやすい食品です。
愛犬にバナナを与える際の注意点
犬にバナナを与えていいことは分かりましたが、ここからはバナナを与える際の注意点について解説します。
与えて良いバナナの種類は?加工品はアリ?
犬にとってバナナは、適量ならば健康に良いおやつの一つ。与える際は生のバナナが望ましいと言えます。
加工品に関しては、犬用のおやつならOKですが、人間用のものなら犬が消化不良やアレルギーを起こすリスクが高まります。そのため、砂糖や添加物が含まれていない自然な状態のバナナを選ぶことが重要です。
例えば、バナナチップスなどの乾燥バナナは、砂糖が添加されているものが多いため、愛犬の健康を考えると避けるべきでしょう。
バナナを与える時の前処理|皮は必ず剥く!
犬にバナナを与える際は、前処理が重要です。バナナの「皮」には犬が消化しきれない成分や農薬が残っている可能性があるため、必ず皮を剥いてから与えてください。
もし誤って皮を食べてしまった場合は、食道や腸に詰まってしまう危険性もあるため、ただちに動物病院に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。
バナナ自体はそのまま与えてもよいですが、一口サイズにカットして与えることで飲み込みやすくします。
「小さく切る」もしくは「すりつぶす」
犬にバナナを与える際には、皮を取り除いた上で、小さくスライスしたり、細かくしたり、すりつぶしてペースト状にして与えるのが一般的な方法です。
これにより、喉に詰まらせる危険性を減らすと同時に、消化が良くなります。まずは少ない量から始めて、犬の体調を観察しましょう。
犬にバナナを与えるタイミング
犬にバナナを与える最適なタイミングは、食事のバランスを考慮した上で、おやつとしてのご褒美、またはトレーニングの際にあげるのがおすすめです。
あくまでバナナはおやつとしての扱いであり、犬の日常の食事には代えられません。また、犬が大興奮している時や空腹時を避け、落ち着いた状態で与えるとよいでしょう。
他の食品と組み合わせた時の注意点
バナナを他の食品と組み合わせて与える場合は、特に以下の点に留意してください。
- 人間用の食事や調味料との組み合わせは避ける
- 既存のフードの栄養バランスを考慮する
- アレルギーを持つ犬への影響を見極める
人間の食事や調味料に含まれる塩分、砂糖、香辛料などは犬の健康を害する恐れがあるため、絶対に避けましょう。
また、市販されているペットフードは栄養バランスが考慮されているため、むやみに他の食品を追加すると栄養の過不足が生じる可能性があります。他の食品と組み合わせる場合は、カロリーオーバーや栄養バランスが偏らないよう配慮が必要です。
さらに、アレルギーを持つ犬に対しては、アレルゲンとなり得る食品を避けるなど、個々の健康状態に配慮した食事管理が求められます。
愛犬のためにも控えて!バナナが適さない健康状態
バナナは犬に与えていい食品ですが、健康状態によってバナナを食べるのを控えた方がいい子もいます。その代表例をご紹介します。
- アレルギー体質
- 食事制限・食事管理が必要
- 尿検査に異常がある(ストルバイト結石症に注意!)
- 心臓や腎臓に問題がある
1つずつみていきましょう。
アレルギー体質
食物アレルギーを持つ犬に対しては、一概にバナナが安全とは言えません。
未知のアレルギーがある場合には、与える前に獣医師に相談するか、アレルギーテストを行うと安心です。
食事制限・食事管理が必要
バナナに含まれる糖分は血糖値を急激に上昇させるリスクがあり、肥満を招く可能性もあります。
糖尿病や肥満傾向にある子、またカロリー制限が必要な子の場合は、食べさせる量に特に注意が必要です。適量を守ることで、これらの状態に悪影響を及ぼすことなくバナナを楽しむことができます。
尿検査に異常がある(ストルバイト結石症に注意!)
尿検査でストルバイト結石症の疑いがある子には、バナナを与えないようにしましょう。尿のpH値に影響を与える食品を摂ると、ストルバイト結石症などの尿路系の疾患を悪化させる可能性があります。
バナナに含まれるカリウムは、ストルバイト結石の原因となる可能性があるため、特に尿検査で異常が見られる場合には、獣医師と相談し、適切な食事管理を行うことが必要です。
心臓や腎臓に問題がある
心臓疾患や腎疾患を抱えている子は、バナナに含まれる糖分やカリウムの摂りすぎに注意する必要があります。心臓病や腎臓病の犬は、糖分やカリウムの代謝がうまくいかない可能性があるからです。
愛犬のことを想うと、これらの疾患がある子にはバナナを与えない、もしくは獣医師の指導のもと他の食品で代用することなどを検討しましょう。
愛犬にバナナを与える際の適切な「量」
バナナをおやつとして与える場合は、1日の必要カロリーの10%までを目安とするのが一般的です。
また、愛犬にバナナを与える際は、体重や活動量に応じた適切な量を心がける必要があります。バナナは栄養価が高いものの、糖分も多いため、過剰摂取は肥満の原因になることも。
また、消化不良を起こさないよう注意し、初めて与える際は少量から始めて、愛犬の反応を見守ることが大切です。ここからは体格別にバナナの適切な摂取量をみていきます。
※ここでご紹介する量は、あくまで一般論です。持病がある、健康に不安があるなどの場合は、かかりつけの獣医師に相談したうえ、飼い主さんの責任のもと与えてください。
【体格別】犬のバナナ摂取目安量
体格 | 目安摂取量 |
超小型犬(体重4kg未満) | 1/4本 |
小型犬(体重5~10kg未満) | 1/2本 |
中型犬(体重10~25kg未満) | 1本 |
大型犬(体重25kg以上) | 2本 |
※皮を剥いた状態かつ、可食部を約100gとした場合
※運動量等によっても異なります。
初めてあげるときには様子を見ながら!
バナナを初めて犬に与える場合は、少量から始めて犬の反応を見ましょう。
特に下痢や嘔吐などの異常がある場合は直ちに与えるのを中止し、動物病院での診断を受けましょう。
犬の年齢も加味しよう
子犬の場合、バナナを与えてしまうと消化不良を引き起こしたり、アレルギー反応などの原因となったりすることがあります。そのため、バナナを与える場合は、「生後半年」を過ぎてからにしましょう。
また、シニア犬の場合は消化能力が落ちていることが多いため、小さくして柔らかくするなど、食べやすい形にして与えることが大切です。
成長期の子には、体重管理の観点から適量を厳守して与えてあげましょう。
犬とバナナに関するよくある疑問とその回答
最後に、犬とバナナに関するよくある疑問についてピックアップし、解説していきます。
生バナナと乾燥バナナ、どちらが良い?
犬にとって、生のバナナと乾燥バナナは栄養面で若干の違いがありますが、どちらも適量であれば健康的なおやつとなり得ます。
ただ、乾燥バナナは糖分が凝縮されており、カロリーも高くなる可能性があるため、与える場合は特に少量にする必要があります。
一方、生のバナナは水分が豊富で、繊維質が多く含まれているため消化を助ける効果が期待できます。
バナナでアレルギー反応は起きる?
犬がバナナを食べた際にアレルギー反応を示すことは比較的珍しいものの、決して0ではありません。アレルギーは犬にも人間のように存在し、特定の食品に対する過敏反応が原因です。
バナナに含まれる成分に関してアレルギーを持つ犬は、消化不良、皮膚の発疹、嘔吐、下痢などの症状が現れる場合があります。
不安な場合は獣医師に相談のうえ、少量から試してアレルギー反応を観察しましょう。万が一アレルギー反応が疑われる場合には、直ちに獣医師の診断を受けることが重要です。
おいしいバナナを正しく与えて愛犬の健康へつなげましょう!
犬にとってバナナは、優れた栄養源です。適量を守り、バナナをおやつとして取り入れることで、日々の健康維持に貢献できるでしょう。ただし、量や与え方には注意が必要です。
愛犬の健康、そして楽しいおやつ時間になるよう、飼い主様が正しい与え方を実践しましょう。