愛犬の健康を第一に考える飼い主さまなら誰でも、与える食事の安全性には気を遣っていらっしゃることでしょう。
というのも、人間にとって健康的な食品であっても、犬にとっては害を及ぼすこともあるからです。そのひとつとしてよく耳にするのが「アーモンド」ですが、実際はどうなのでしょうか。
本記事では、犬にとってアーモンドは安全なのか、アーモンドを与える場合の注意点やその健康リスクに焦点を当て、飼い主が知っておくべき重要な情報をまとめてみました!ぜひ最後までご覧ください。
犬にとって安全?犬はアーモンドを食べられる?
実は、アーモンドは犬にとって安全な食品とは言えません。それは、アーモンドに含まれる成分や脂肪分が犬の健康に様々なリスクをもたらす可能性があるからです。
食べられないことはないですが、犬にアーモンドを与えることは推奨できません。愛犬の健康を第一に考えると、「控える」もしくは「他の食品に置き替える」のがベストな判断だと言えるでしょう。
なぜアーモンドが犬にとって危険なのか
アーモンドは人間にとっては栄養豊富で健康的なスナックかもしれませんが、犬にとってはいくつかの理由で危険性が伴うことが分かっています。その具体的な理由を、下記の3つの点から見ていきましょう。
- アーモンドに含まれる栄養素
- アーモンドを食べることによる健康リスク
- 犬にとっての毒性
アーモンドに含まれる成分
アーモンドにはタンパク質、食物繊維、ビタミンE、マグネシウムなどが含まれていますが、これらは犬の体にとっても一定量は必要です。しかし、主要成分は脂質であり、これが犬にとっての高脂血症や肥満の原因になることがあります。
また、アーモンド特有の油分やリンゴ酸などは犬にとって過剰摂取になりやすいです。さらに、アーモンドは塩や他の調味料が加えられていることも多く、これらは犬にとっては有害な添加物になりかねません。
アーモンドを食べることによる犬の健康リスク
アーモンドを食べることによる犬の健康リスクは見逃せないものです。あらゆるリスクを考慮すると、獣医師や専門家は犬にアーモンドを与えることを一般的に推奨していません。
では具体的に、犬にとってアーモンドを食べることでどのようなリスクが生じるのでしょうか。次の項目で解説します。
肥満や高脂血症になりやすい
アーモンドは高カロリーで脂質も多いため、犬が過剰に摂取することで肥満や高脂血症を引き起こすリスクがあります。
肥満は関節への負担や糖尿病などの健康障害の原因となり、高脂血症は心臓病や膵炎などを誘発する可能性があります。それは、犬にとっては非常に危険な状態です。
そのため、犬にアーモンドを与える際にはこれらの健康リスクを考慮し、極めて限定的な量に留めるか、犬に適した他の食材を選ぶことが望ましいでしょう。
心臓や腎臓へ負担がかかる
アーモンドを食べることは、犬の心臓と腎臓に大きな負担をかける可能性があります。アーモンドは高脂肪食品であり、その脂質の過剰な摂取は肥満の原因となり、高血圧や心臓疾患へのリスク増加につながることがあると考えられているのです。
また、犬の腎臓は人間と異なり、ミネラルの処理能力に限界があります。そのため、特に老犬や腎機能障害を抱える子にとっては、アーモンドに含まれるリンやその他のミネラルが腎臓に大きな負担を与え、腎不全を悪化させることも考えられます。
このように、アーモンドは犬にとって心臓病や腎臓病のリスクを高めてしまうことから、通常の食事やおやつには推奨されません。
消化器官への影響(便秘や下痢など)
アーモンドを食べた犬は、消化器官に様々な影響が出ることがあります。特に便秘や下痢は最も一般的な症状です。これはアーモンドが高脂肪であり、犬の消化器官に負担をかけるためです。
また、アーモンドのサイズと硬さが原因で、消化不良を引き起こすリスクが高まる可能性があります。特に犬の小さな消化管には、アーモンドのような硬い食物を適切に処理する能力が備わっていないこともあり、これが消化器官への悪影響を増大させる原因になっています。
犬がアーモンドを食べた場合は、便秘や下痢といった症状がないかをよく観察し、異常が見られた際にはすぐに獣医師の診察を受けましょう。
窒息や腸閉塞の可能性
犬にアーモンドを与えた際の健康リスクの一つに、窒息や腸閉塞の可能性が挙げられます。アーモンドは硬くて丸いため、特に小型犬や幼犬では喉に詰まらせやすく、窒息事故に繋がるリスクが存在し、非常に危険です。
また、アーモンドは消化しにくいため、適切に分解されなければ腸の中で詰まってしまい、腸閉塞を引き起こすこともあります。
腸閉塞は犬の命に直結する緊急事態となり得るため、愛犬の安全を考えると、アーモンドは与えない選択をするのが賢明です。
犬にとってのアーモンドの毒性
アーモンドには、犬にとって危険とされる物質が含まれています。特にアーモンドに含まれる天然の毒素であるシアン化合物は、犬にとって中毒を引き起こす可能性があります。
通常、市販されているアーモンドは加工され、安全なレベルまで除去されているため、健康に問題を引き起こすほどの濃度にはなりません。しかし、大量に摂取すると中毒症状を引き起こす可能性も考えられるのです。
また、人間よりも消化器系が敏感な犬にとっては、アーモンドの消化が難しいため、摂取量が少量であっても消化不良を起こすリスクがあります。
犬がアーモンドを食べた場合は、中毒症状やアレルギー反応に注意し、異常が見られる場合は直ちに獣医師へ相談しましょう。
犬にアーモンドを与える際の注意点
ここからは、犬にアーモンドを与える際の注意点についてご案内します。しかし、ここまででも何度もお伝えしましたが、大前提として本記事では、「愛犬にアーモンドを与えることは推奨しません」。
ただ、何らかの理由やご事情から、もしアーモンドを与える判断をした場合には、必ず以下のポイントに留意しましょう。
- 「適切な量」と「危険な量」
- 上手な与え方
- 初めて与える場合はアレルギー反応に注意
- どんな症状が出る?アーモンド摂取後の観察ポイント
- 異常が見られたときの対処法
注意点① | 「適切な量」と「危険な量」
犬は人間とは異なり、アーモンドを消化・代謝する能力が限られているため、少量でも健康に影響を及ぼす可能性があります。
その点を考慮したうえで、具体的には小型犬に対しては5粒以下、中型犬や大型犬であっても10粒未満とするべきであり、それ以上は危険な量と判断し、リスクが増大すると考える方がよいでしょう。
そもそも、アーモンド自体を犬に与えることは推奨されていません。もし与える場合には、犬のサイズや個体差を考慮し、必ず無塩のものを選び、細かく砕いて消化を助ける工夫をする必要があります。
注意点② | 上手な与え方
アーモンドを与える際は、犬が噛み砕けるよう、小さく砕いたり、粉末にしたりして与えることが望ましいです。これにより、窒息や腸閉塞のリスクを減らすことができます。
また、無塩で味付け無しのアーモンドを選びましょう。
注意点③ | 初めて与える場合はアレルギー反応に注意
犬にアーモンドを初めて与える際は、アレルギー反応に注意が必要です。まずは少量から始め、アーモンドを食べた後の犬の様子をしっかり観察しましょう。
もしアーモンド摂取後に異常が見られた場合は、すぐに獣医師に相談することが大切です。犬にとって安全とされる食品でも個体差があるため、一般的なガイドラインにのみ依存せず、飼い主さま自身が注意深く観察しましょう。
注意点④ | どんな症状が出る?アーモンド摂取後の観察ポイント
犬がアーモンドを摂取した後、アレルギーのサインとして観察すべき具体的な症状は、
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 皮膚の発疹やかゆみ
- 腫れ
- 呼吸困難
などが挙げられます。
重篤なケースではアナフィラキシーショックを引き起こす恐れもあります。ちょっとした症状も見逃さないように注意しましょう。
注意点⑤ | アレルギーのサインや異常が見られたときの対処法
愛犬にアーモンドを与えた場合、前述したアレルギー反応や他の異常が出現することがあります。症状が現れた場合には、迅速な対応が重要です。
軽度なら様子を見つつ安静にし、重度かつ進行している場合や改善がみられない時は、窒息や腸閉塞などの緊急性が高い場合もあるため、迅速に獣医師の診断と治療を受けることが重要です。
当たり前ですが、一度でもアーモンドを摂取して異常が見られた犬は、今後アーモンドを与えない、愛犬の近くに置かないなど、飼い主さまがしっかり配慮しましょう。
何度も言いますが、愛犬のことを第一に考えると、ここまでのリスクを背負ってまでアーモンドを与えるのは控えるのが最も賢明ですが、万が一の時には迷わず獣医師に相談し、適切な処置を行うことが大切です。
アーモンド以外のナッツ類は食べてもいいの?カシューナッツ、くるみなど
アーモンド以外のナッツ類にも、犬が食べても安全なものとそうでないものがあります。今後の参考までに、具体的に見ていきましょう。
犬が食べていいナッツ類
アーモンド以外のナッツについては、ピーナッツやカシューナッツ、くるみなど犬に与えても安全とされる種類もありますが、過剰摂取は避けるべきです。
また、いずれも与える場合は、無塩で加熱処理されていない生の状態が望ましく、そのまま与えるのではなく、適切な大きさに砕いて消化しやすくすることが重要です。
犬に与えてはいけないナッツ類
犬に与えてはいけないナッツ類には、マカダミアナッツやブラジルナッツ、ピーカンナッツなどがあります。
これらのナッツには、犬にとって有害な物質が含まれており、摂取することで中毒症状を引き起こす恐れがあります。特にマカダミアナッツは、ほんの数粒であっても犬に重篤な健康問題を引き起こすことが知られています。
症状としては嘔吐、体温の上昇、筋肉の弱さ、炎症などが挙げられ、場合によっては命に関わることもあります。
また、ナッツ類は一般的に脂質が多いため、過剰摂取により肥満のリスクも高まります。さらに、加工品は砂糖や塩分、その他の添加物が含まれていることが多いため、これらは犬に与えないようにしましょう。
アーモンド以外のナッツ類を与える場合の注意点
犬に他のナッツ類を与える際は、アーモンド同様に慎重になる必要があります。まず、全てのナッツが犬に安全とは限りません。
また、食べられるナッツ類に関しても、共通して言えるのは高カロリーで脂質が多いため、与える際は量を制限することです。
また、加工品は避け、無塩かつ焙煎されていないナチュラルなものを選ぶべきです。ナッツには消化しにくいものも多いため、消化不良や膵炎を引き起こすリスクがあることも忘れてはいけません。
さらに、アレルギー反応を示す犬もいます。ナッツ類を与える際はこれらの注意点を心に留め、愛犬の健康を第一に考慮した選択をしましょう。
アーモンドの「加工品」もNG
アーモンドの「加工品」もNGです。加工されたアーモンド製品には、犬に有害な塩分や糖分、香料、保存料などが含まれていることが多くあります。
例えば、アーモンドミルクやアーモンドが入ったビスケットなどは、犬にとって消化しにくい成分や添加物が加えられており、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、アーモンドバターにも塩分や砂糖が多く含まれる商品があり、これらは犬の肥満や糖尿病、心臓病のリスクを高める要因となることもありますので与えない方が賢明です。
健康を考慮するならば、アーモンドだけでなくその加工品も避けて、犬に安全な食材を選んであげましょう。
犬にアーモンドを与える代わりになる食材
犬にアーモンドを与える代わりになる安全な食材は幅広く存在します。主に考慮すべきは、犬の消化に優しく、低カロリーで栄養価が高いものです。
代表的なものとして、リンゴ、人参、ブロッコリー、かぼちゃ、バナナ、さつまいもなどがあります。これらの食材はビタミンや鉄分、食物繊維を豊富に含み、適量与えることで愛犬の健康維持にうってつけです。
また、皮を取り除いた鶏肉や七面鳥などの脂肪分が少ない肉類は、良質なたんぱく質の供給源です。
ただし、食材が安全とは言っても特定の食材に対してアレルギーを持つ子もいるため、初めて与える際には少量から始め、異常がないか慎重に観察してください。
「犬 アーモンド」に関するよくある質問
最後に、「犬 アーモンド」に関するよくある質問をみていきます。
犬はアーモンドを食べられますか?
犬はアーモンドを食べることはできますが、多くの場合、犬にアーモンドを与えることは推奨されていません。
アーモンドは犬にとって消化しづらいうえ、アーモンドに含まれる成分や脂肪分は犬にとって過剰摂取となりやすく、消化器官に負担をかけたり、肥満や高脂血症を引き起こしたりするリスクがあります。
また、アーモンドの大きさが原因で窒息や腸閉塞を起こす可能性も否定できません。さらに、いくつかのナッツ類には、犬にとって毒性を持つ成分が含まれているため、犬にアーモンドを与えることは避けるべきです。
アーモンドアレルギーの症状は?
犬がアーモンドを食べた際に起こりうるアレルギー反応には、皮膚の発赤やかゆみ、腫れ、嘔吐や下痢、呼吸困難などがあります。
犬がアーモンドに対してアレルギー反応を示すことは比較的珍しいケースではありますが、アレルギー症状が出る可能性は排除できません。
アレルギーによる反応の程度は個体差があり、軽微なものから命に関わる重篤な状態に至ることもあります。アーモンドを食べた後、何らかの症状が見られる場合は、直ちに獣医師の診察を受けましょう。
犬がアーモンドを吐いたらどうしたらいい?
犬がアーモンドを吐いた場合は、中毒の兆候である可能性があるため、ただちに獣医師の診断を受けましょう。
アーモンドには犬に有害な成分が含まれているため、吐き気や下痢など他の消化器症状を引き起こすことがあります。犬がアーモンドを摂取してから異変を感じたら、摂取量や発症した症状を正確に伝えられるよう、情報を控え、適切な処置を受けてください。
たとえ症状が軽くても見過ごさず、獣医師のアドバイスを求めることで、愛犬の健康を守ることができますよ。
犬にあげてはいけないナッツは?
犬に与えてはいけないナッツは、アーモンドを始め、マカダミアナッツやピーカンナッツ、ブラジルナッツなどがあります。これらのナッツ類には犬に有害な高脂肪含有量や、毒素を含むものがあるためです。
特に、マカダミアナッツには犬にとって有毒な成分が含まれており、摂取することで筋肉の震え、発熱、歩行困難などの症状が現れることが知られています。
安全性が確認されていないナッツ類は、犬に与えないようにしましょう。もし誤って食べさせてしまった場合は、直ちに獣医師に相談してください。
また、ナッツ全般が高カロリーで脂質が多い食材のため、たとえ安全に食べられるナッツ類でも、愛犬の健康を考えると積極的に与えることは推奨できません。
愛犬の健康のためにも犬にはアーモンドを与えない方が吉
愛犬の健康を考えた時、アーモンドの摂取は避けるべきです。人間にとって栄養価が高いとされるアーモンドも、犬にとっては消化しにくく、様々な健康リスクを招く恐れがあります。あらゆるリスクを避けるためにも与えない選択をすることが賢明です。
アーモンド以外にも犬に安全で健康的な食材は多く存在します。愛犬の健康を守りつつ、幸せな時間を過ごすためにも、飼い主として愛犬の健康と安全を最優先に考えた選択を心がけましょう!