愛犬にとってぶどうは命に関わる危険な食べ物です。しかし、その事実を知らずに良かれと思って食べさせているケースや、漠然とした不安な気持ちがありながらもどうしてダメなのか具体的な理由をご存知ない飼い主さまが多い現状があります。

そこで本記事では、なぜぶどうが犬にとって危険なのか、どのような症状が現れるのか、そしてもし愛犬が誤って食べてしまった場合の対処法など、愛犬を守るために飼い主さまが知っておくべきぶどうのリスクと具体的な対処法について詳しく解説していきます。

愛犬の健康・命を守るために、ぜひ最後まで読んでいただき、正しい知識を身につけてくださいね!

犬にとってぶどうはなぜ危険?致死量や症状について

はじめに、犬にとってぶどうがなぜ危険であるのか、また致死量や具体的に現れる症状などについて解説していきます。

犬がぶどうを食べる危険性

ぶどうに含まれる成分が犬にとって有毒となり、摂取量に関わらず重篤な健康問題を引き起こす可能性があるとされています。

ぶどうの種などに含まれる成分や、ぶどう自体が持つ一部の成分が疑われていますが、具体的にどの成分が犬にとって毒性を持つのかは明確には特定されていません。だからこそ、リスクを避けるためにも犬にぶどうを与えることは控えるべきなのです。

どのくらいの量を食べると危険?致死量は?

症状が出る量や致死量は明確には定まっていません。しかし、専門家の間ではぶどう1粒でも犬に重大な有害反応を起こす可能性があると考えられており、小型犬ではそのリスクはさらに高いと言われています。

また、犬の体重や健康状態にも左右されることが予想されますが、過去に少量でも中毒症状が現れた事例もあります。

ぶどう中毒になった場合の症状や愛犬のSOSサイン

犬 ぶどう_1

犬が誤ってぶどうを食べてしまった場合、以下のような症状が現れる可能性があります。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 脱水
  • 尿の変化
  • 腎不全

ぶどうを食べたあと、普段と異なる振る舞いや落ち着きがない様子が見られることがあります。次に消化器系の変化が見られ、嘔吐や下痢はその初期徴候です。

また、急に元気がなくなり、排尿の頻度が減るなど、重篤な「腎不全」を引き起こすリスクが高いとされています。

まずは、愛犬が出す小さなサインを見逃さずに、いつもと様子が違う場合にはすぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。何より早期の発見と治療が愛犬の命を守る鍵となります!

ぶどう摂取後、中毒症状が現れるまでの時間

犬がぶどうを摂取した後、中毒症状が現れるまでの時間には個体差があり、一概には言えませんが、摂取してからわずか数時間で吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。

中には、24時間以上経過してから症状が出る子もいるようです。また、最も重大な急性腎不全に至るまでの時間はさらに変動が大きくなります。

ぶどうが引き起こす「急性腎不全」

何度もお伝えしますが、ぶどうは犬にとって危険な食べ物です。摂取することで最悪の場合「急性腎不全」を引き起こします。この急性腎不全になると、生命を維持するあらゆる機能が働かなくなり、命を落としてしまう危険性も…。

腎臓へのダメージを最小限に留め、命に関わるほど重症化する前に、早急に対処することが愛犬を守るための唯一の方法であり、飼い主さまの責任でもあります。

早期治療が命を守る!犬がぶどうを食べたときの対処法・治療法

犬がぶどうを食べてしまった場合、迅速な対応が重要だとお伝えしましたが、ここからは具体的にどう対処していくのか、動物病院でどのような治療がおこなわれるのかを見ていきましょう。

誤ってぶどうを食べたときの正しい応急処置方法

犬が誤ってぶどうを食べてしまった場合、迅速かつ正しい対応が必要です。

  • ぶどうがまだ口に残っているなら取り除く
  • 愛犬の様子をしっかり観察する
  • かかりつけの獣医師に相談し指示に従う

順を追って解説していきます。

ぶどうがまだ口に残っているなら取り除く

愛犬が誤ってぶどうを食べた場合、迅速な対処が必要ですが、もしぶどうがまだ口の中に残っているのであれば、直ちに取り除いてください。

愛犬の様子をしっかり観察する

愛犬がどの程度の量を食べたかを確認しましょう。ぶどうの摂取量によって犬に及ぼす影響が異なるかもしれないので、ぶどうの量を把握することは大切です。

次に、吐き気や下痢、脱力感、普段と違う落ち着きのない様子など異変が見られるか注意深く観察してください。

かかりつけの獣医師に相談し指示に従う

愛犬が誤ってぶどうを食べた場合、最も優先すべきは、かかりつけの獣医師に速やかに相談することです。獣医師は、犬の状態や食べたぶどうの量に応じて具体的な指示を出してくれます。

ぶどうによる中毒症状が出る時間は個体差があるため、そのとき無症状であっても時間が経って症状が現れることもあります。そのため、無症状だからと軽く見ず、そして症状の有無に関わらず、必ず獣医師へ相談しましょう。そしてできる限り早く適切な治療を受けましょう。

ぶどうを食べてしまったときの動物病院での治療法

犬 ぶどう_2

動物病院では、獣医師が愛犬の状態を診察した上で、適切な治療を行ってもらえます。動物病院では、嘔吐の誘発、毒素を吸着する活性炭の投与、胃洗浄が一般的で、これらの治療はぶどう成分の体内への吸収を最小限に抑え、早期に取り除くことが目的です。

また、愛犬に見られる症状や食べたぶどうの量から急性腎障害が起こる可能性がある場合には、点滴治療を行う場合もあります。

ぶどう中毒は予測が難しく、わずかな量でも重篤な健康被害をもたらすことがあるため、必ず病院を受診しましょう。

犬のぶどう摂取を防ぐための予防方法

愛犬の健康を考えた時、「ぶどうを食べさせない・食べられない」環境づくりやしつけも飼い主さまの重要な責任です。

ここからは、犬が誤ってぶどうを食べてしまわないよう、普段からできる予防方法をご紹介します。

犬の誤食対策!ぶどうから愛犬を守る予防策

誤飲などの偶発的な事故を防ぐためにも、予防策をしっかりと講じましょう。

  • 環境を整える
  • 保存場所を工夫する
  • 拾い食いや盗み食いをしないようなしつけをする
  • 留守番時は特に注意が必要

1つずつ見ていきましょう。

環境を整える

ぶどうに限らず犬にとって有害となる食材が、犬の手の届くところにない環境を整えることが重要です。ぶどうや皮を落とさない、普段から床にモノを置かない、ごみを拾うなど、家族全員が環境整備の意識を持つようにしましょう。

保存場所を工夫する

愛犬が誤ってぶどうを食べないように、食品を保管する場所を見直しましょう。

キッチンカウンターや食卓上、リビングのテーブルなど、犬が簡単に触れられる場所にぶどうを含む食品を置かないように気をつけてください。

具体的には、ぶどうを密封できる容器に入れて食品保管用の棚の上段に置く、ロック付きのキャビネットに保管するなどが挙げられます。また、冷蔵庫に入れる場合も犬が開けられないような固定が必要です。

さらに小さな子どもがいるご家庭では、無意識にぶどうを落としてしまうことも考慮し、高い場所に置くよう指導するほか、ぶどうを食べている間だけでも大人がしっかり見守ってください。

また、ゴミ箱も犬が漁れないようにフタ付きのものを使用するか、犬が入れないスペースに保管することも大切です。適切な保存方法を実施し、家族全員で愛犬の安全を守りましょう。

拾い食いや盗み食いをしないようなしつけをする

拾い食いや盗み食いをしないようなしつけも重要です。具体的には、「おすわり」や「待て」といった基本的なコマンドを徹底して教え、食べ物に対する正しい行動を身につけさせる必要があります。

飼い主さまの許可なしに食べ物に手を出すことができないような環境を作り、食べ物が落ちていてもすぐに食べない自制心を養うことが大切です。

留守番時は特に注意が必要

愛犬がぶどうやその他の有害な食品を誤食するリスクは、飼い主が家を空けている留守番時に特に高まります。外出前は特に危険な食品やモノが愛犬の届く場所にないか、必ず確認しましょう。

また、安全なおもちゃや噛むためのアイテムを用意することで、退屈を感じた際の誤食のリスクを低減できます。

さらに、ペットセーフティロックやゲートを使用し、キッチンなどの危険エリアへの立ち入りを防ぐことも効果的です。

犬が中毒を起こす可能性のある食べ物 | 犬にとってNGな食べ物リスト

ぶどう以外にも犬が中毒を起こす可能性のある食べ物や飲料は多く存在します。

愛犬の健康・命を守るためにも、飼い主さまがしっかり頭に入れて与えないよう注意しましょう。

レーズンやぶどうジュースも非常に危険

ぶどうだけでなく、レーズンやぶどうジュース、ワインなども非常に危険です。

これらに含まれる物質に対して、多くの犬が非常に敏感で、たとえ少量でも急性腎不全を引き起こす可能性があります。

腎不全は、犬にとって命を脅かす重大な状態で、治療が遅れると回復が困難になることもあるので、まずは誤食・誤飲をさせないことが重要です。

そのほか犬にとって危険な食べ物や飲料

犬 ぶどう_3

そのほか、犬にとって危険を及ぼす代表的な食品・飲料は以下の通りです。

  • チョコレート
  • 玉ねぎ
  • ニンニク
  • アボカド
  • カフェイン
  • アルコール
  • キシリトール

これらは犬の身体に有害な成分を含んでおり、重度の中毒症状を引き起こす可能性があります。愛犬の健康・命を守るためにも、これらの食品は絶対に与えないようにしましょう。

「犬」と「ぶどう」に関するよくある質問

最後に、犬とぶどうに関するよくある質問にお答えします。

犬の「ぶどう膜炎」は「ぶどう」と関係ある?

犬の「ぶどう膜炎」とは、目の中のぶどう膜という部分が炎症を起こす目の病気です。名前の由来はこの部分がぶどうのような形をしていることからきていますが、食べ物のぶどうを摂取することで起こるものではありません。

ぶどうを食べてしまった…無症状だけど病院に行くべき?

万が一、愛犬がぶどうを食べてしまった場合、たとえ食べた直後に無症状であったとしても、すぐに獣医師の診察を受けることをおすすめします。

ぶどうには犬にとって有害な成分が含まれており、犬によってはわずかな量で中毒症状を発症しますが、症状が現れるまでに数時間以上かかるケースもあります。

無症状を放置しておくと知らないうちに取り返しのつかない事態になることも…。摂取すると命を脅かす腎不全を引き起こすリスクがあるため、早期に適切な処置を行うことが、愛犬の健康を守る上で非常に重要です。

ぶどうを舐めたり、少量食べたりした場合でも危険?

犬がぶどうを少量でも摂取することは大変危険です。ぶどうには犬にとって毒性を持つ成分が含まれており、舐めただけでも、あるいはわずかな量を食べただけでも、中毒症状を引き起こすリスクがあります。

万が一、犬がぶどうを口にした場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な対処をおこないましょう。

犬にぶどうはNGだが、ぶどうの種類や量は関係ある?

犬にぶどうを与えることは極めて危険で、その種類や量に関係なく健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。

中毒の症状は嘔吐や下痢、食欲不振、腹痛などで、数粒のぶどうでも症状が現れる場合があります。重要なのは、どの犬も同じ量で同じ反応を示すわけではなく、極わずかな量であっても重篤な影響を受ける可能性があるという点です。

そのため、愛犬がぶどうを誤って食べてしまった場合には、速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。

犬にぶどうはNG!飼い主さまが責任を持って管理しましょう!

犬にぶどうを与えることは、愛犬に大きな健康リスクをもたらすため絶対にNGです。

ぶどうに含まれる未だ特定されていない成分が原因で、愛犬の命を脅かす急性腎不全を引き起こす危険があるため、ぶどうやレーズンを誤って食べさせないように、飼い主さまが管理を徹底し、愛犬を守ってあげましょう。

万が一、愛犬がぶどうを食べてしまった場合は、速やかに獣医師の診断・処置を受けることが重要です。不遇な誤食を防ぎ、愛犬と楽しく幸せな時間を過ごしてくださいね。